1945年長野県生まれ。
父である巣山林山(人間県宝・沈金)に師事。
1990年株式会社木曽アルテック社設立。当社のこれまでの全製品を開発、デザイン。
造形家具、壁面、漆絵、沈金、乾漆、仏像、彫刻、オブジェ、建築、インテリア、プロダクト、デザインなど幅広く活動しています。
・木曽桧と漆
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私が生まれ育った木曽は「木曽路はすべて山の中」という 島崎藤村(『夜明け前』)の言葉がぴったりのところです。 どこへ行っても、山ばかりで、平らなところはありません。 山と山の間の深い溝のようなところですが、関西と関東を結 ぶ交通 の要所であり、中山道を通って人々が行き交いまし た。
木曽の山々には、ヒノキを中心にした素晴らしい針葉樹材 があります。色や強度など、品質すべての点で満点が取れ、世界に誇れる材と言えるでしょう。木曽では早く から曲げ(木を割って曲げたものを弁当箱などにしたもの)などの木製品をつくり、漆をかけて生計を立てて きました(樹液から取った漆をそのまま2回ほど塗った初歩的な段階のものを「春慶塗」といいます)。戦後 、経済的に成長して生活様式がアメリカ式になり、身の回りのものが次々に工業化され、伝統工芸はだんだん と廃れつつあります。
木曽は山国ゆえ、板造りの家が多いのです。クリの屋根、マツの壁、柱はモミやツガ、しかしヒノキは使わ せてもらえなかった。ヒノキは大変大事にされ、江戸時代には尾張藩の直轄領として、明治になって帝室林野 庁のものとなり、戦後は林野庁になって、今も国有林として継続しています。そのくらいに、民間には渡した くない山であったのです。 |
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